硝子体注射(抗VEGF治療)
足立慶友眼科の硝子体注射は、曜日指定ではなく、
患者さんのご都合に合わせてフレキシブルに対応しています。
硝子体注射(抗VEGF治療)は、目の中に直接薬を注射する治療法です。「目に注射」と聞くと不安に感じる方も多いかもしれませんが、現在では多くの患者さんに選ばれている一般的な治療法です。この記事では、硝子体注射の効果や痛みの有無、治療の対象となる疾患について詳しくご紹介します。
硝子体注射(抗VEGF治療)とは
硝子体注射(抗VEGF治療)とは、抗VEGF薬と呼ばれる薬液を注射を使って眼の中に注入する治療です。
もともとは加齢黄斑変性に対して行われていた治療で、原因となるVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor:血管内皮増殖因子)の働きを抑えることが目的となります。
現在では様々な目の病気の治療に有効性が認められており、加齢黄斑変性だけでなく、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞など、複数の眼疾患の治療に使用されています。現在、国内で使用が認められている薬剤には、ルセンティス、アイリーア、マクジェンの3種類があります。
なぜVEGFを抑える必要があるのか?
VEGFとは、異常な血管である新生血管の増殖や成長を促す物質です。新生血管はとてももろく破れやすいため、目の中でむくみや出血を引き起こし、急激な視力低下の原因となります。抗VEGF薬を目の中に直接注射することで、この新生血管の活動を抑え、炎症や出血の進行を防ぐ効果が期待できます。
抗VEGF物質の効果
硝子体注射の効果は非常に高く、特に視力低下が著しい患者様では、注射後の早い段階で視力の改善を実感する方が多く見られます。糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などによるむくみ(黄斑浮腫)では、翌日にはむくみが引いて「よく見える」と感じる方も多いです。ただし、その効果は一時的なものであり、時間の経過とともに再発する可能性があるため、定期的な注射治療が必要です。疾患の状態に応じて、間隔を調整しながら継続的な治療が行われます。
硝子体注射(抗VEGF治療)が対象となる疾患
硝子体注射(抗VEGF治療)は、以下の疾患に対して使用されます。
- 糖尿病網膜症
- 加齢黄斑変性
- 網膜静脈閉塞症
- 強度近視(病的近視)
これらの病気では新生血管が形成されることで、視力が低下します。硝子体注射は、これらの病気の進行を抑制するために選択される治療法です。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症のひとつです。初期に症状を自覚しづらく、発見が遅れやすいので注意が必要です。
糖尿病によって血液中の糖分濃度が高い状態が続くと、網膜の細い血管が詰まったり破れて出血するようになります。これによって網膜への酸素供給が不十分になると、それを補おうとVEGFが過剰に産生され、新生血管が形成されます。これが出血や黄斑浮腫(むくみ)を引き起こし、視力の低下につながります。
抗VEGF硝子体注射はこのような病態を、視力の回復や進行の抑制に効果があります。進行すると失明に至る可能性もあるため、早期発見と定期的な治療が非常に重要です。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性は、加齢によって網膜の中心にある黄斑部に障害が生じ、視力が低下する疾患です。
網膜はカメラでいうフィルムの役割を果たしており、黄斑はこの網膜の中心に位置する重要な場所です。ものを見るための重要な役割をになっているので、加齢黄斑変性が進行すると、最終的に失明することもあります。
物が歪んで見える(変視症)、視野の中心が暗くなったり欠けたりして見えにくくなる等の症状が現れます。早期治療が視機能を守る鍵となるので、自覚症状がでたら直ちに眼科を受診しましょう。
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症は、網膜の血管(静脈)が詰まる病気です。
血管の詰まりの程度や部位によって、「網膜中心静脈閉塞症」と「網膜分枝静脈閉塞症」に分類され、網膜全体や一部に出血を引き起こします。50歳以上で起きやすく、高血圧と関連性が高いことがわかっています。
血管が詰まって酸素や栄養が届けられなくなると、それに反応してVEGF(血管内皮増殖因子)が多量に分泌され、新生血管が発生します。これを防ぐために硝子体注射を施行します。50歳以上で目のかすみ、視野の欠け、急激な視力低下等の症状がある場合、すみやかに眼科を受診してください。
強度近視(病的近視)
強度近視(病的近視)は、近視の度数が非常に強く、眼球が前後に長くなることで網膜や脈絡膜に障害が起こる疾患です。
度数でいうと、-6.0D以上が強度近視です。強度近視では、眼球が引き伸ばされることで、網膜が薄くなり、異常な新生血管が発生することがあります。
新生血管はもろく傷つきやすいため新生血管の増殖をコントロールしないまま放置しておくと、出血やむくみを引き起こしてさらなる視力の低下を招きます。これまで強度近視の治療は、レーシック等の手術が一般的でしたが、抗VEGF薬による硝子体注射は、手術と比べて比較的体への負担が少ないことから、近年注目を集めています。
硝子体注射(抗VEGF治療)の方法
硝子体注射は、針を刺しても問題のない白目の部分から薬剤を注入する治療で、処置自体は約1分程度と非常に短時間で完了します。治療は外来で受けられるため、入院の必要はありません。
以下が治療の流れとなります。
硝子体注射の流れ
1.点眼麻酔
手術の前に点眼麻酔を行うため、痛みはほとんどありません。
2.目の周りの消毒
雑菌が目に入らないよう、丁寧に消毒します。
3.白目部分から注射
採血などで使用する針よりもかなり細いものを使用するため、注射針の跡はすぐにふさがります。
POINT
注射の際には、針が視界に入らないよう、下を向いた状態で行います。
恐怖心や不安を払拭する配慮にもとづき治療を行っています。
硝子体注射(抗VEGF治療)の治療スケジュール
治療スケジュールは疾患や症状によって異なります。例えば、加齢黄斑変性の場合、まず初めに3回連続で注射を行い、その後は経過を見ながら注射の間隔を空け、定期的に注射します。
注射の間隔を空ける方法の一つに「Treat & Extend」と呼ばれるものがあり、これは最初の3回の注射後、4回目は2ヶ月後、5回目は3ヶ月後と、徐々に注射間隔を延ばしていくものです。これによって患者様の負担を減らしつつ、効果を持続させることができます。いずれにせよ、定期的な来院が必要となりますので、ご留意ください。
硝子体注射(抗VEGF治療)の費用
硝子体注射は高度な医療技術と薬剤を用いるため、治療費は高額になります。1回の注射にかかる費用はおおよそ15万円程度で、患者様は保険の負担割合によって以下の通りとなります。
■硝子体注射の費用(片目1回あたり)
1割負担の方 | 15,000円(税込) |
3割負担の方 | 50,000円(税込) |
ただし、国の高額療養費制度を利用すれば、自己負担額をさらに軽減することが可能です。この制度の詳細や申請方法については、厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をご参照ください。治療を継続する場合には費用面の負担も考慮しながら、医師と相談のうえで治療計画を立てましょう。
硝子体注射(抗VEGF治療)の副作用とリスク
硝子体注射には副作用やリスクも存在します。最も注意が必要なのは、感染症です。ただし、使用する針は非常に細く、消毒も徹底しているため、感染のリスクは極めて低いです。
他にも、注射後に一時的に結膜下出血が起こることがあります。これは白目の部分が真っ赤になるため驚かれるかもしれませんが、通常、1週間以内に自然に治ります。見た目は心配かもしれまえんが、視力や眼の機能には影響しませんので安心してください。
他に、目のかゆみや違和感などを感じるケースもありますが、重篤な合併症は稀です。安全な治療ではありますが、疑問や不安がある場合は、遠慮なく相談してください。
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上村 文
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