オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは”手術不要”の近視矯正法です。特に子どもの近視進行を抑える効果が期待されており、大人の方にとっても、安全性や自由度の高さが魅力の治療法です。
この記事では、オルソケラトロジーの仕組みや効果、メリットデメリットについて詳しく解説しています。ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーとは、手術せずに近視を矯正する方法です。特殊にデザインされたハードコンタクトレンズを就寝中に装用し、角膜の形状を一時的に変化させることで近視や乱視を矯正します。
日中、裸眼で生活できることが大きな特長です。レーシックなどの手術と異なり、角膜にメスを入れないので、治療を中止すれば角膜は元の状態に戻ります。
近年では、特に子どもの近視進行を抑制する効果も注目されており、6歳以上から適応が可能です。安全性と利便性を兼ね備えた、新しい視力矯正の選択肢として注目されています。
オルソケラトロジーのメリットとデメリット
オルソケラトロジーには、日中を裸眼で快適に過ごせることや、手術をせずに視力を回復できるという大きなメリットがあります。しかし、一方で毎晩の着用やレンズのケア、ハロー・グレア等、デメリットも存在します。メリットとデメリット両方を理解した上で選択しましょう。
メリット
- 子どもの近視進行抑制効果が期待できる
- 日中にメガネやコンタクトレンズを使用する必要がなくなる
- 手術の必要がない
- スポーツを裸眼で行うことが可能
子どもの近視進行抑制効果が期待できる
文部科学省の「学校保健統計調査」によると、スマートフォンやタブレットの普及を背景に、子どもの近視は年々増加傾向にあり、深刻な社会問題となっています。
オルソケラトロジーは、6歳以上の子どもでも装用が可能で、特に子どもの角膜は大人より柔らかいため、視力回復効果も期待できます。
レンズによる矯正効果だけでなく角膜の形状を変えることで、近視の進行を抑制する効果があると海外では報告されています。
日中にメガネやコンタクトレンズを使用する必要がなくなる
オルソケラトロジーは、就寝中に専用レンズを装用して朝レンズを外せば裸眼で日中を過ごせるため、メガネ着脱のわずらわしさや、コンタクトレンズの乾燥・異物感といった不快症状から解放されるのが大きなメリットです。
見た目も自然でストレスのない生活を実現できます。アクティブな日常を裸眼で楽しめるため、生活の質の向上も期待できます。
手術の必要がない
「裸眼でクリアに見えるようになりたいけれど、レーシックやICLなどの手術には抵抗がある」という方は少なくありません。手術が不要なオルソケラトロジーは、そのような方にも安心です。
治療を中止すれば、約1ヶ月程度で角膜が元の状態に戻るというのも、リスクが気になる方にとっては安心材料となるでしょう。
スポーツを裸眼で行うことが可能
眼鏡やコンタクトレンズの使用が適さないスポーツは多々あります。今まで視力の問題であきらめていた方も、格闘技やサッカー、水泳やサーフィン等のスポーツを楽しめるようになります。
クリアな視界でアクティブなライフスタイルを送りたい方におすすめです。
デメリット
- 毎日装用する必要がある
- 視力を安定させるまで時間がかかる
- レンズのケアが必要
- ハロー・グレアが起こる場合がある
毎日装用する必要がある
オルソケラトロジーは、夜間に装用したレンズによって角膜の形を一時的に変えることで視力を矯正する治療法です。そのため、効果を維持するには毎晩の装用が必須になります。
装用を数日休んでしまうと、角膜の形は徐々に元に戻り、元の見えにくさを感じるようになります。
つまり、オルソケラトロジーは「一度やれば終わり」という治療ではなく、継続的な管理と装用が前提となります。
毎日の習慣として無理なく続けられるかどうかをあらかじめ考慮することが大切です。
視力を安定させるまで時間がかかる
オルソケラトロジー治療を始めた直後は、視力が安定せず、日によって見えたり見えにくかったり、一日の間でも夕方頃に徐々に見えづらくなることがあります。
しかし、多くの場合は治療開始から数日〜数週間で徐々に矯正効果が持続しやすくなります。効果の持続時間には個人差があるため、初期の段階で「自分には合っていない」と判断する必要はありません。
定期的な通院と医師の指導のもと、正しい装用とケアを続けることで、安定した裸眼視力を得られます。治療には段階があることを理解し、焦らず取り組むことが成功のカギです。
レンズのケアが必要
オルソケラトロジーでは、毎日のレンズケアが欠かせません。ケアを怠ってレンズが汚れたり、雑菌が繁殖すると、通常のコンタクトレンズと同様、充血や痛み、角膜炎、感染症といったトラブルが生じることもあります。
また、レンズがずれて乱視が悪化したり、光がぼけたり、強いまぶしさを感じたりする場合もあります。子どもの使用には特に、保護者の方がしっかりと管理・洗浄を行い、清潔を保つようにしてください。
ハロー・グレアが起こる場合がある
オルソケラトロジーによる矯正治療中は、夜間に光がにじんで見える「ハロー」や、「まぶしさ」を感じる「グレア」と呼ばれる現象が起こることがあります。
特に暗い場所では瞳孔が広がり、レンズで矯正されていない角膜部分からの光が視界に影響を与えるため、このような現象が起きやすくなります。
そのため、夜間に長時間運転を行うタクシー運転手や配送業の方などは、事前に医師へ相談することをおすすめします。症状が強い場合は、レンズの度数や形状の見直し、治療の中断を検討します。
オルソケラトロジーによる近視矯正の仕組み
①レンズ装着前(近視の状態)
近視の眼では、角膜と水晶体で屈折された光の焦点が網膜の手前に結ばれるため、遠くがぼやけて見えます。
②レンズ装着中
レンズは角膜の前面を優しく圧迫するように平坦化させ、光の焦点が網膜上に届くよう補正します。
③レンズを外した後(裸眼時)
レンズを外した後も、角膜は一定時間その形状を保つため、日中は裸眼でも十分な視力を維持できます。この効果は一時的なもので、持続には毎晩の装用が必要ですが、非手術で安全性の高い視力矯正法として注目されています。
オルソケラトロジーの向き不向き
オルソケラトロジーはすべての方に適しているわけではなく、効果や安全性は個々の眼の状態によって異なります。
オルソケラトロジーが向いてる人
- 軽度から中等度の近視の方
- 目の病気がない方
- しっかりと睡眠がとれる方
- 眼が成長段階の若年層の方
軽度から中等度の近視の方
オルソケラトロジーは、角膜の形状をレンズで変形させて視力を矯正するため、角膜に過度の負担をかけずに効果が得られる適正範囲があります。
すなわち軽度から中等度(-6.00D程度まで)の近視の方の治療として適しています。詳しくは医師による適応検査を受け、角膜形状や屈折度数との相性を確認してください。適切な使い方で、安全かつ効果的に視力改善を目指しましょう。
目の病気がない方
オルソケラトロジーは、健康な角膜が前提となる治療法です。円錐角膜や緑内障、ぶどう膜炎、網膜疾患などの目の病気がある場合は、レンズ装用によって症状を悪化させる可能性があるため、適応外となることがあります。
安全に治療を行うためにも、事前の適応検査で眼の健康状態をしっかりと確認しましょう。
しっかりと睡眠がとれる方
オルソケラトロジーは、就寝中にレンズを装用するため、毎晩一定時間以上の睡眠をしっかり確保できるかどうかが効果を左右します。一般的に6時間以上の睡眠が推奨されており、睡眠時間が短いと十分な矯正効果が得られない可能性があります。
夜更かしや不規則な生活リズムが続く方には、効果が不安定になることもあるため、日常的に安定した睡眠を取れる方に向いている治療です。
眼が成長段階の若年層の方
オルソケラトロジーは、近視進行の抑制効果が期待できることから、成長期にある若年層の視力改善や視力低下を抑えることに特に適しています。
子どもの近視は、眼軸(目の奥行き)が伸びることで進行しますが、一度伸びた眼軸は元に戻りません。強度近視になると将来的に視力喪失や黄斑変性症、網膜剥離、緑内障などのリスクが高まるため、角膜が柔らかく反応しやすい子どものうちに、近視進行を抑制しておくことが大切です。
オルソケラトロジーが向いてない人
- 重度のドライアイの方
- レンズのケアがしっかりできない方(お子様が使用する場合は保護者の方)
- 妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある方
- 毎日十分に睡眠時間を確保することが難しい方
- 3カ月ごとの定期検査に通えない方
- レーシックなどの屈折矯正手術を受けたことのある方
- 職業的なリスクのある方
多くの方に適したオルソケラトロジーですが、場合によっては適応外と判断される場合があります。
上記のように「不向き」とされる方でも、医師の判断で治療が可能となるケースもありますので、自己判断で諦めず、遠慮なく適応検査をご相談ください。
オルソケラトロジー治療の流れ

適応検査
近視の度合いや眼の健康状態を詳しく調べます。
– 検査内容 –
視力検査、眼圧測定、屈折検査、角膜形状解析、角膜内皮細胞の測定 等

フィッティング検査・装用練習
院内でトライアルレンズを装用していただき、見え方や装用感を確認します。
検査結果をもとにオーダーメイドのレンズを発注。レンズは約1週間で仕上がります。

お試し装用
レンズが届いたら、1週間装用を体験いただいた後、再診します。
目の状態に問題がないか確認し、問題なければ治療を開始しますレンズは約1週間で仕上がります。

治療開始
治療を継続するかどうか、体験後に決定していただきます。そのまま治療を開始する際は追加費用の支払いが必要となります。
以降、3ヵ月ごとに定期検査をし、視力の安定や目の健康を管理します。
通院期間について
基本的な通院スケジュールは、以下の通りです。
① 1週間の適応検査
→ オルソケラトロジーの使用が適応できるか、検査を行います(約1~2時間)。
② レンズ装着後の翌日
→ 初めての装着後、視力や角膜の状態を確認するために翌日検診が行われます。
③ 1週間後の検診
→ 視力や装着感を再度確認します。レンズの調整が必要な場合もあります。
④ 1カ月後の検診
→視力が安定しているか、角膜の健康状態をチェックします。
⑤ 3ヶ月おきに定期検査
→その後も3か月ごとに検診を行い、視力や角膜の健康状態を維持します。
オルソケラトロジー治療の流れに関する注意点
オルソケラトロジー治療をご希望の方は、以下の点にご注意ください。
- 初回の適応検査、トライアル装用は予約制となります。
- 適応検査前に、一定期間装用中のレンズを外していただく必要があります。
└ソフトコンタクトレンズ・・・3日間
└ハードコンタクトレンズ・・・1週間
└他院のオルソケラトロジー・・・2週間 - 装用時の違和感解消や、効果の安定までに数日〜数週間が必要です。
- 暗い場所や夜間には、光がにじむことがあります。
- 角膜に傷ができたり、アレルギー反応が起こった場合等、装用後の状態によってはオルソケラトロジーを休止していただく場合があります。
オルソケラトロジーの費用
適応検査 | 3,000円 |
装用体験 | 60,000円 |
初期費用(両目) -レンズ使用料 -ケア用品(洗浄液・装着液・ケース・スポイト) ・3ヶ月分の定期検査・診察代含 | ※145,000~160,000円 |
定期検査・診察 | 1,000円 |
※治療を開始される方は(初期費用-装用体験60,000円)の差額分をお支払いいただきます。
治療開始後3ヶ月以降は定期検査・診察代・ケア用品代がかかります。
保証について
当院では、オルソケラトロジー治療開始後、1年以内にレンズの破損、汚れ、度数変更があった場合、医師の判断によりレンズを無料で交換させていただいております(度数変更は2回まで)。
ただし、お手持ちのレンズと交換になりますので、受け取り時に装用いただいていたレンズを必ずお持ちください。
※保証期間終了後の再購入費用は1枚40,500円となります。
お問い合わせはこちら

上村 文
Aya Uemura大学病院レベルの最新設備を備え、地域の皆様に安心して受診いただける“かかりつけ眼科”を目指しております。一般的な眼科診療から高度な治療まで幅広く対応し、患者様に寄り添った医療を大切にしています。 また、学校医として、地域の子どもたちの目の健康にも力を入れております。
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